褒められて伸びる子です

私はね
草刈機のこと詳しく分かるわけじゃないんです
工具のことも詳しくわからない
噴霧器？初めて聞いたわってぐらい
殺虫剤のおすすめなんですかって言われても知りませんし
トイレのつまりをなくす薬剤なんてのも知らないんです

ただ、知らないからこそ
自分が知ってる仕事だけは誰にも譲らんぜってぐらい積極的にこなしてるんです
レジの応援が入れば誰よりも早く行くことを心がけてるんです
遠くにいようが、作業してようが
電話がなればとりあえずダッシュするんです
合鍵の注文が入れば真っ先にサービスカウンターに向かうんです
木材カット、他の誰かにとられてたまるかってぐらい即答でインカムに返事するんです
品出ししながら前出しして売り場を綺麗にするんです
床が汚れていればほうきとちりとりを持ってきて掃除するんです

みんなができることを
ただ誰よりも先にやってやるぜって気持ちで
誰も気がつかないところまで隅々やってやるぜって
めんどくさいことこそ私がやるぜって
やってるだけです
みんなができることを、他の誰よりも数多くこなすぜって思ってやってるだけです

私ができる仕事なんか誰でもできる
みんなほど仕事できるわけじゃない

ただ、誰よりも走って
誰よりも明るく元気に仕事してます

そうして2ヶ月仕事をしたら
すごい人って言ってもらえるようになりました
頑張ってるってみんなが言ってくれるようになりました
みんながいろいろ話しかけてくれるようになりました
いろんなことを任されるようになってきました

普通ならこんなこと言うことでもないんですけど。何か大きいことを成し遂げたわけでもないですし。ただの自慢話みたいにしか思われないでしょうし。

ただね、自分でも頑張ったっておもうんです
自分に出来る限りの力を日々出し尽くしてるって言えるんです
だからこそもう言わせて

「私、めっちゃ褒められてるー！」
「私、頑張ってるーー！」

こういうお店には
お店に内緒で「評価するためだけに来るお客さん」ってのがいるんです
本部がそういう人を雇って各店舗に送るんですよね
誰も知らないから、みんないつも通りの接客をするわけです
で、こないだ来たんですよね
私の出勤日だったんですよね
話しかけられてるみたいで
ついでにレジまでしちゃってるみたいで

お店の評価としてはかなりの低い点を出されて、店長としては目指してる方向と真逆の結果だったみたいです
うちの店は特別安い商品を売ってるわけでもなく、ほかのホームセンターに商品で太刀打ちできないんですよね
だからこそ、接客で戦うしかないっていうようなお店で

だから、接客の評価がかなり低かったことに店長は愕然としたんですよね

それがですね
そんな中で私の評価だけがよかったってね
言ったんですよね店長がね
あんまり内情を喋っちゃいけんのやけどっつって
お店どうしていったらいいかなって
2ヶ月の初心者マークつけた私に言ったんですよね店長が

いや、自慢したいわけじゃないんす
ちょっとはあるんですけど
嬉しかったんでね
でもね、特別何かできなくても一生懸命やれば認められるんだって思えてね

たかがホームセンター
されどホームセンター

世の中にはいろんな仕事があります
勉強して勉強して、いろんな知識をつけないとなれない仕事もあります
技術がいる仕事もあります
誰にでもなれるわけじゃない仕事もあるし
命と向き合ってる仕事もある
ホームセンターの仕事は特別難しい仕事ではないかもしれません
世の中のいろんな仕事に比べればね
でも、必要な仕事
誰にでも出来るような仕事かもしれません
けど、誰かがしないと買い物に行けないわけです
大事な仕事です

誰でも出来るような仕事を
一生懸命
全力で
楽しんでする

それってもしかしたら、誰にでも出来るわけじゃないのかもしれない

やっぱりさ
頑張ってるわ、私

もっと褒めて褒めて

褒められて伸びる子なんで

さてと、お盆休みに入ります
いっぱい子供たちと遊んで過ごします
いつかくるその日のために
私は今日も明るく笑って過ごすのです
明日も、明後日も

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